中学生の時に引っ越しをして、それまで住んでいた町を離れた。
8年振りくらいだろうか。その町に行く機会があった。
懐かしい友人たちに会い、当時よく行ったたこ焼き屋へ行こうとなった。
味が美味しいわけではなかったが、ユニークなおっちゃんが一人でやっているお店だった。
私たちの他にお客さんがいることはほとんどなく、コンビニで買ったパンを鉄板で焼かせてもらったり、おっちゃんが酒のつまみにしているめざしを鉄板で焼いたものを分けてもらったりした。そして一緒にふざけたりした。
友人たちもしばらく来ていなかったというそのたこ焼き屋。
当時と同じようにあり、おっちゃんも当時と同じようにいた。
私たちの顔を見て、おっちゃんが「おお!」と言った。
懐かしく、嬉しかった。
店に入った。当時より8年分古くなっているようだった。
「おっちゃん最近どう?」と聞くと
「ようやく慣れてきたところや」と言った。
慣れるのに時間かかりすぎちゃう? と思ったが、意外とそういうものかもしれないな、とも思った。
たこ焼き7個で100円は8年前と同じ価格だ。
一口ほおばる。なるほど。ようやく慣れてきたところらしい。