「パカーーーーーン」
お弁当箱を題材にした絵本の1ページ目を娘に読んだ私の声に、そこにいた子ども達が一斉にこちらを向いた。
ここは街の大きな本屋の絵本コーナー。
靴を脱いであがる広いスペースで、子ども達が思い思いの絵本を読んでいた。
絵本を読み進めていると、だんだんと子ども達がこちらに集まってきた。
私は他の子ども達にも見えるように絵本の角度を工夫し、声を少し大きくした。
読み終えると娘は集まった子ども達を掻き分け、その絵本を元にあった棚へもどした。
私が読むのを聞いていた子ども達のうちの一人が一目散に元にもどされた絵本を取りに行き、その母親らしき人に手渡していた。買ってもらうようにねだっているらしかった。

私はその子にその絵本の代金を支払ってあげたい気持ちをこらえ、娘に1冊余分に絵本を買ってあげた。