私はお笑い芸人の又吉直樹さんを敬愛している。
著作の小説やエッセイは何度も読み返しているし、最近は去年から始められたYouTubeに夢中だ。
先ごろYouTubeで配信された「新社会人に伝えておきたい100の事」を語る企画も、やはりおもしろかった。
その伝えておきたい事の中のひとつに「自分の人生に期待をしない」というのがあった。
芥川賞を受賞したことを例に挙げ、作品を読んでもらって評価いただいたことは嬉しいが、申し訳ないけれど何とも思わない。と語っておられた。
過度に自分に期待してはいけない、ただ今やるべきことをやれ、という教訓として私は受け止めている。
そんな又吉さんが、かつて同居していた三人でやっているラジオがある。
『又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間』。
私はそのラジオの「自由律俳句を考えよう」というコーナーに自作の句を投稿した。
もしかしたら読んでもらえるかもしれない。そう思い、放送当日は開始と同時に聞いた。
今か今かと自由律俳句のコーナーが始まるのを待った。
サルゴリラ児玉さんのお薦めの曲『青い珊瑚礁』が流れたあと、そのコーナーは始まった。
自由律俳句を投稿するのは2度目で、前回は採用されなかった。
コーナーは進み、今回もやっぱりダメかなと思っていたら、「大阪府…」と私の住んでいる都道府県、年齢、ペンネームが次々と読み上げられた。あれよあれよという間に自作の句が読み上げられると、三人の笑い声が起こった。
又吉さんが口したその句の解説に、さらに笑い声が起こった。
さらに児玉さんが「この人の作品で他にもこんなのがあったけど、めっちゃわかる」と、偶発的に私の句が2つも紹介されることとなった。
自作の句を2つも読んでもらい、笑ってもらい、その感想を三人が話しているのを聞き、勝手ながら私もこの三人に混じって会話をしたような感覚になっていた。
ただ私は自分の人生に期待をしないことにしたので、自作の句が読まれたからと言って、何とも思ってはいけないのである。