日本ニットの工場は田んぼが広がるのどかな場所にありました。実は奈良県は靴下生産量日本一と言われています。ただほとんどの工場がメーカーからの依頼を受けて作る量産品。日本ニットもそんな工場の一つでした。里井さんが代表取締役に就任した当初は、このままでいいと思っていたそうです。しかし仕事を続けていくうちに、自分たちでものづくりをしたいと思うように。

 

「もちろん今までもものづくりなんですが、自分で企画して世に発信してみたいという思いに駆られました」

ただやり方がわからない。ブランドを作るということ、企画、ターゲット……。

「正直ブランドって何? という感じだったんです(笑)。でもどんなにいい商品でもブランド力がないと売れないと教わったので、イチからブランディングについて勉強しました。デザイナーも初めて採用したんです。」

「どんな商品が望まれているのかと考えた時に、もっと便利な冷え取りソックスがあったらいいのになぁと思いました。従来の冷え取りソックスは重ね履きするのがめんどうという声はよく聞いていたので。それに私も冷え性なんです。オフィスで足が冷えるから、日中も履ける冷え取りソックスが欲しいなぁと思っていました。ただ3~5足も重ねて履くものを1足にするなんて、至難の業。オリジナルデザインの靴下を作るだけなら、もっと話は早かったんでしょうが、それでは大手に勝てないと感じました。ウチにはさまざまな機械がある。だったら他にはないものを作りたかったんです。試行錯誤をしている時に、靴下の横編み機に辿り着きました。靴下の編み機には縦編みと横編みがあるんです。横編みはニットなど衣料品を製造するのに使います。弊社は腹巻なども製造しているので、小型版の横編み機があるんです。これを使えば作れるんじゃないかと職人たちに相談をしました。また横編み機を所有している靴下工場はそんなに多くないので、ウチの強みにもなると考えたんです。」

 

通常3~5足を重ね履きする冷え取りソックスを一足に。

開発まで一年以上かかったそうです。

「シルク、コットン、空気の三層になっているので、保湿性・保温性が高いんです。三層と言ってもそれぞれを縫い合わせてしまうと厚みが出てしまい、日中に履くことができないため、内側がシルク外側がコットンになるように編み合わせています。今までにない編み方でしたので、開発に時間がかかりましたね」

 

また部分によって編み方を変えているそう。そのため製造に通常の3倍くらい時間がかかります。さらに使用しているコットンはコーマ綿という最上級品。冬は暖かく夏はサラリとした肌触りになるのですが、靴下で使用するのはとてもめずらしいそうです。

「正直こんな手間とお金がかかる靴下、普通は作らないんじゃないかなぁ(笑)。でも求めている履き心地を追求したら、この方法がベストでした」

 

RIRILAは3SOUソックスのほかに、つま先が5本指に分かれているオープントゥもあり、こちらも話題を呼んでいます。さらなる新商品の構想を伺ったところ、意外なことに答えはNOでした。

「商品数を増やすことが目的ではなく、ブランドを育てることに注力すべきだと思うんです。今ある商品をもっと良くしたいし、もっと多くの人に認知してもらいたい。フランスやドイツなど海外での販売も考えていて、目下語学勉強中です」

現在はECサイトとポップアップショップが主な販路ですが、アパレルSHOPはもちろん、ネイルサロンなどにも販路を拡大しています。

「取材の縁からヨガ用のRIRILAオープントゥ開発の話も出ていて、RIRILAを中心にどんどん輪が広がっていますね。今後もいろいろな方と繋がってRIRILAを広めていきたいです。」

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RIRILA POP UP STOREが東京・西武池袋本店で開催!

(期間)
2019.11.27 wed-12.10 tue

(場所)
西武池袋本店 2F婦人洋品小物売場

誰も見たことのない靴下を作れるポテンシャルが、ウチの工場にはあると確信していたんです。

日本ニット株式会社

http://www.ririla.jp/