「THE AUTHENTICS –Eternal Source of Creativity」を主催するのは、公益財団法人日本服飾文化振興財団。ユナイテッドアローズの創業者であり現名誉会長の重松理氏が設立し、服飾に関するセミナーや講演会の実施、若手のファッションデザイナーへの支援などを行っている団体です。本展では財団が所有する約1200着のヴィンテージウエアを、ミリタリー/ワーク/ユニフォーム/スポーツ/エスニックという5つのカテゴリーに分類。服飾史という視点から重要なアイテムをピックアップして展示しています。

展示されている洋服は着用可能

会場に一歩足を踏み入れれば、1930~1960年代のアイテムを中心に、ブレザーやライダースジャケット、ピーコートなど各カテゴリ-の洋服がずらり。どのアイテムも、服好きならばひと目で心躍るオーラをまとっています。そして何より、この展覧会の最大の特徴は、実際に洋服に触れ、着られること。一般的な展覧会やコレクションでは珍しいスタイルですが、イベントタイトルである『THE AUTHENTICS』にも通じています。洋服は表面的なルックスだけでなく裏側や生地、着用感など細部にこそ神髄が表れます。目で見るだけではなく、袖を通すことによって細部まで“本物”を理解してほしいという主催者の願いが込められているのです。

〈イブ·サンローラン〉の貴重なコレクションも

メンズアイテムが中心の本展で異彩を放つのが、エスニックカテゴリー。エスニックは服飾史のなかでも重要な要素ですが、捉えるべき歴史や国が幅広いことが特徴です。そこで今回は、〈イブ·サンローラン〉のエスニックアイテムに絞って公開。サンローランを愛してやまない女優·小林麻美さんから寄贈された、貴重なヴィンテージが展示されています。現代の洋服ではなかなか見られない緻密なデザインや流れるような美しいシルエットなど、思わず目を奪われるアイテムが揃っています。

 

現代ファッションとヴィンテージの調和

壁面には各カテゴリ-のヴィンテージを着用したモデルの写真をディスプレイ。最新の洋服とミックスされたコーディネートは決して懐古趣味ではなく、むしろ斬新にさえ感じます。意味のあるディテールや計算された機能美は、時を重ねても色褪せないものだと改めて実感。ファッションの奥深さや楽しさ、高揚感を存分に得ることができました。

これら多彩な展示を通し、洋装の基本や普遍的な美しさを体感できるこの展覧会。京都という日本文化の集積地でこそ感じられる想いや感動が必ずあるはず。ファッションに興味がある人もそうでない方も、京都観光とともにぜひ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

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【入場料】無料
【会期】2018年11月22日(木)~29日(木)10:00~18:00(入場は17:30まで)
【場所】京都造形芸術大学 人間館1F エントランスラウンジ 京都市左京区北白川瓜生山2-116
【主催】公益財団法人 日本服飾文化振興財団
【共催】学校法人 瓜生山学園 京都造形芸術大学
【事務局】公益財団法人 日本服飾文化振興財団 
TEL 03-6894-1989 FAX 03-6894-1990

貴重なヴィンテージを着用し、 本物の洋服を体感する展覧会。 『THE AUTHENTICS』

公益財団法人 日本服飾文化振興財団

服飾に関する知識の普及と服飾文化の伝承を目的に2014年9月に株式会社ユナイテッドアローズ名誉会長重松が設立。
www.jflf.or.jp/
Instagram:@jflf.or.jp
◆服飾資料館の運営(テキスタイルサンプル/書籍/ヴィンテージガーメントなど服飾資料を所蔵) ◆服飾にかかわる講演会・セミナーの開催 ◆若手服飾デザイナーの助成活動